なぜ産業医が必要か?
産業医の選任義務
産業医と町のお医者さんの違い
専属産業医と専任産業医の違い
産業医の歴史
 
なぜ産業医が必要か?
Ⅰ.労働安全衛生法第13条の定めにより必要です。
・常時50名以上の労働者が働く事業場では、産業医を選任することが義務づけられています。
・1,000名以上の事業場または、有害業務のある500名以上の事業場では『専任の産業医、専属産業医』を1名専任しなくてはなりません。
・3,000人以上の事業場では2名の『専属産業医』を専任しなくてはなりません。
・(専属産業医を選任しなくてもよい事業場(50名以上999名以下)では嘱託産業医を1名以上選任します。)

Ⅱ.企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)として必要です。
企業の社会的責任とは、コンプライアンス、雇用・人権への配慮、環境配慮、社会貢献といった分野にわたり、顧客、取引先、株主に対してだけでなく、そこで働く労働者、さらに地域社会に対しても果たすべき責任として求められています。

Ⅲ.企業のリスクマネジメントとしても必要になってきています。
単に法律に記載されたことを守っていても、変化の激しい時代では、法律が世の中の後追いになってしまうことがあります。したがって、その法律が制定された背景を理解したうえで今あるリスクを評価し対応していくことが大切です。

産業医の選任義務
産業医とは、事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、衛生管理者とともに職場環境管理を行い、専門的立場から指導・助言を行う医師をいいます。

産業医は産業医学の実践者として、産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。

産業医を選任することで、
・ 労働者の健康管理に役立ちます。
・ 衛生教育などを通じ職場の健康意識が向上します。
・ 職場における作業環境の管理などについて助言が受けられます。
・ 健康で活力ある職場作りに大きく役立ちます。
・ (企業のリスクマネジメントについての意識が変わります。)
産業医と町のお医者さんの違い
町のお医者さんは、病院や診療所で働きます。
産業医は、会社や工場で働きます。
町のお医者さんは、病院(診療所)にくる訪問者を診ます。その多くは病気を持った人です。
産業医は、会社の労働者(従業員)を診ます。その多くは健康な人(健常人)です。
町のお医者さんも産業医も、病気の予防に取り込みます。
町のお医者さんはさらに、病気の診断と治療を中心に医療を行います。
産業医は一方、会社のもつ従業員への健康および安全配慮義務に関して、会社のお手伝いをします。(風邪でも薬は処方しません。)
専属産業医と専任産業医の違い
労働安全衛生規則は、常時1,000人以上(有害業務については、常時500人以上)の労働者を従事させている事業場については、専属の産業医の選任を義務づけています。

労働安全衛生規則においては、「専属」と「専任」は異なる概念です。
「専属」とは、当該事業場のみに属している者を指します。
「専任」とは、産業医が産業医の職務のみを行っていることです。

したがって、専属産業医が、産業医以外の職務に従事しても、法令に反するものではありません。

社内クリニック、工場内診療所などで、専属産業医が行う労働者に対する診療は、産業医の本来の職務の妨げにならない範囲かつ産業医活動と診療行為を明確に区分した上で実施することが望まれます。
産業医の歴史
事業場における医師の選任については、労働安全衛生法の制定以前から、工場法に基づく「工場医」の選任と、労働基準法に基づく医師である衛生管理者の選任が定められていました。

その後、1972年の労働安全衛生法の制定時に、医師の専門的立場を明確にするため、その呼称を「産業医」と定めました。
産業医は労働者の健康管理等に当たるとともに、事業者または総括安全衛生管理者に対し指導助言する等専門家として活動するものとされました。

その後、脳・心臓疾患などにつながる所見を有する労働者の増加、仕事や職場生活で悩みやストレス等を感じる労働者の増加などを背景として、1996年に、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について一定の要件を備えた者でなければならないとする等の法改正が行われました。

そして、この年より、産業医の資格というものが始まりました。
日本医師会認定産業医という資格を持っている人間が産業医をできます。

2006年8月現在、産業医の有資格者数は、合計で約7万人超となっています。

一方、現行法令に基づき産業医を選任する義務のある50人以上の規模の事業所数は全国で約14万事業所となっています(総務省「事業所・企業統計調査2004年」)。
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